だんな様が亡くなり、相談に来られた90歳の奥さまに相続手続きのアドバイスをしたら・・・

遺産相続

御年90歳の女性。数ヶ月前にご主人が亡くなりました。

相続手続きについて聞きたいと来所されたので

必要な書類や手続きの種類などお伝えしていたところ・・・

 

この女性、メモをとりながら

「それは、どこに、なにを持って行けばいいの?」

・・・と、まるで自分で・・・

 

むむむ・・・いやいや まさかね・・・

 

元気な日の二女さん・そうでなくなった二女さん。。

 

あなたもインターネットなどで調べたことがあると思いますが

相続の手続きってたくさんの種類があります。

葬儀・病院・介護施設などは直ぐに終わっても

その後は

銀行、保険、土地や家、相続税

市町村役場関係のもの、水道とかガスの契約ごと

家財関係の処分や整理 などなど・・・

 

あなたは、こういった「相続」に

直面したことはありますか?

 

ワタシは、身内が亡くなったとき

何度か、相続手続きをしたことがありますが

時間も量も、結構な労力でした。

 

あなたのときはどうだったでしょうか?

 

さて、はなしを90歳の奥さまに戻します

その前に・・・毎回「90歳の奥さま」と表現するのもなんなので

今後は「仮名:しげさん」と呼ぶことにしましょう。

しげさんは昭和6年生まれで、今年90歳。

今回亡くなったご主人は93歳でした。

お二人の間に、娘さんが二人。

 

 

じつは最初、二女の娘さんがご相談にこられました。

数年前まで小学校の教員をされていた二女さんは、

しげさんの家から車で20分ほどのところに住んでいて

買い物・頼まれごとなど、快く引き受けていらっしゃいます。

 

 

今回も「お父様」の相続であることから

高齢のしげさんに代わって、手続きのことを

詳しくお聞きにこられたのでした。

 

そして、銀行や保険、土地・お家など

今回の相続財産にはどんな種類が含まれているのかお聞きしながら

必要な書類や手続などをお伝えしていきます。

 

すると、二女さんは

「うぇ〜 こんなにいっぱいあるんですかぁ

こりゃ、千葉さん(ワタシ)にお任せしないと終わりませんね!

うん! このまま母(しげさん)に言っておきますから!

今日の夕方か明日にでも、電話しますね!」

 

小学校の先生もされていたことからか

元気よく 歯切れよく 潔く?

このような言葉を残し一旦、お帰りになりました。

 

では・・・依頼を受けた際の準備をしておくか・・・

戸除籍関係の取得の準備・・・

司法書士さんにもメールしとかないといけないし・・・

相続税関係の申告も必要な額だったから税理士さんもか・・・

 

あと、委任状に・・・ あ、郵便局にも行かないと・・・

と、そうこうしているうちに時間が経ち

 

―― 電話が鳴りました。

受話器を取ると、二女さんの声

 

「ああ 先ほどはどうも、ずいぶん早かったですね」

「いえいえ・・・あの〜千葉さん・・・ 明日母が一緒に行ってもいいですか?」

・・・あれ? さっきの元気良い声はどこにいったの・・・??

「え、ええ もちろんです、是非お越しください」

そして、翌日――

 

上司より怖い、しげさん登場

 

しげさん
「それは、どこに、なにを持って行けばいいの?」

ワタシ
「えっと、遺産分割協議書と法定相続情報という家系図のようなものを・・・

・・・・の窓口に持参しまして。。。いや郵送でもいいんですけどねぇ・・・もうどうでもいいんすけどね・・・

二女さんは恐縮した様子で、下を向いたまま。

 

一体何が起きているのか?

 

しげさん、まずは全部の手続きを教えて欲しい

必要な書類のとり方も教えて欲しい

その上で、できるところは自分でやる

できないとこは任せる

そうしないと、費用がもったいない・・・

 

もちろん、相談料は払いますから・・・・。

 

ゆうに2時間以上は話しました。

途中、司法書士や税理士に電話して

登記や税務申告のことも聞きながら・・・

 

しげさん、只者ではありません。

概要を網羅した後こう言いました。

しげさん(昭和6年生 90歳)
「税務署は、私(しげさん)でやります、分からないところは

あっちの職員さんに聞きながらやれば終わるでしょ?

 

だけど、土地・建物の名義変更(登記)はムリね。

こっちはお任せします。

 

あと、戸籍とかは、小さい字を読むのが嫌だし、

一つの窓口だけで終わらないんでしょ?

時間もかかるようだから、これもお任せします。

その後に法務局に請求する、法定相続情報というものもね。」

 

二女さんは、しげさんの後ろにいて

手を合わせ声を出さず、こちらを見て、

頭を下げ口パクで謝っているようです・・・

 

 

ここは切り替えだ!

依頼者が、あそこまでハッキリ言ってるんだから

年齢とは関係ない、そんなのただの先入観!

 

 

ワタシ
「じゃ、こちらで戸籍を取って・・・」

と切り出したその瞬間 ――再度雷鳴が・・・

しげさん
「じゃ、千葉さん、戸籍とか住民票が取り終わったら

一度娘(二女さん)に連絡してください。

その後が・・・法務局に・・・証明情報?ですよね?

それが千葉さんとこに届いたら、私に渡して頂けるんですよね?」

 

ワタシ
「え、えー もちろんです!

はい、ではすぐに取り掛かりますからね!

では、またご連絡いたしますので!」

 

しげさんと、その後ろにいる「申し訳ない仕草が絶えない」二女さんを見送りながら

 

しげさん・・・

ある意味、サラリーマンときの上司より怖いぜ。。汗

まじ、きんちょーしたわ。。

 

しげさんのワンマンショー

 

しげさんの見事な采配? のかいあって

戸籍や法定相続情報を取得したあと

土地や建物の名義変更(相続登記)がすみ

金融機関等の手続きも、滞りなく完了

 

そして、肝心かなめ

しげさん御年90歳の自力での相続税申告・・・

―― みごと、1日で完了!

 

ここだけのはなし

すべての手続を税理士・司法書士・行政書士などに

委任した場合、全体の費用の3分の2は税理士さん・・・

つまり、税務申告の費用だったのです。

 

これを知ってか・知らずか。。

大変、お見事な舵さばきでした。

 

後日、二女さんから電話があり

 

二女さん
「もしもし〜 あー千葉さん、この度は本当にお世話様でした!

なんだか、母がしゃしゃり出てしまって、すいませんでしたね!」

 

ワタシ
「いえいえ、最初はどうなることかと思いましたが

無事、完了して何よりでした!

それにしても、しげさん、お元気でビックリでしたよ

まさか1人で・・・」

 

 

二女さん
「あ、母にかわりますね!」

 

ワタシ

(・・・げ! 側にいたの!? )

 

しげさん
「あなたのおかげで助かったわ。

事務所も近かったし、あんな短い時間で私でも分かるように

説明してくれたからよ〜 ありがとうございました。」

 

ワタシ
「いえいえ。。 最初は大丈夫かなとは思っていましたが

落ち着いてメモをとられてましたから・・・」

 

しげさん
「まぁ 元気だけが取り柄ですから

他人様がビックリするくらいのね〜

で、費用はお幾らくらいになるんでしたっけ?」

 

ワタシ
「(元気・・・ビックリ・・・)

全部聞こえてんじゃん 汗

あ、〇〇円(費用の総額)です。

明日にでも、振込先の表示された、ご請求書を・・・」

 

 

しげさん
「娘に持たせますから、領収書だけでいいです。

振込手数料がもったいないから現金でお支払いします。

じゃ、娘とかわりますから・・・」

 

二女さん
「というわけで、明日お持ちしますね〜!

何時ころだといらっしゃいますか?」

 

ワタシ
・・・・・・・・・

 

二女さん
「もしもーし・・・」

 

さいごに

 

相続手続きは、なにもすべてを

任せなくてはならないわけではありません。

・・・いや、確かにそうなんですが

今回のケースは。。。最初で最後じゃないかなと(笑)

そのくらい、珍しいを超えた、数十年に一度?

と言ってもいいくらいの稀なケースではないかと思いました。

 

手続きを確実に進めたい

小難しいことは専門家に任せたい

確かにそのとおりです。

 

あなたの周りで相続が発生したとき

「しげさん」のような方が近くにいなければ

遠慮なく専門家にお任せください。

 

新幹線に乗ったような感覚で

目的地に着くことができますから。

 

※税務申告は通常簡単ではありません。今回も例外ではありませんでしたが、
ご本人の強い希望と、結果、完結に至るまで自力で対応されたからこそです。
一般的には難易度が極めて高い(専門家でも修正申告を強いられる場合もあります)ものですので、
その点ご留意ください。

 

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