遺言書があったのに相談もなく、なんで勝手に売られたの?遺産の相続人の子どもさえ知らなかった後見人。

遺産相続

相談の経緯など

先日、「土地や家屋が知らない間に処分(売却)されていた。」とのお問合せがありました。

その不動産は亡くなったお母様が所有されていたもので、お母様は、亡くなった当時成年被後見人となっていたそうです。

そして、亡くなられる1年ほど前からは施設へ入居されていたとのことで、そこには誰も住んでいない状態だったとのこと。

ご相談者含む共同相続人の皆さんは、遠方にお住まいのため現実的にはお身内から後見人に適任の方がいらっしゃらなかったそうで、家庭裁判所で選任された方が後見人に就任されていたそうです。

母と後見人

お話を聞くと、その不動産は10年ほど前に亡くなったお父様(ご主人様)の所有だったものを、お母様の居住用と言うことで、ご相談者(兄弟姉妹含む)全員が遺産分割協議に同意して、お母様の単独名義にしていた土地・家屋だったそうです。

お父様からお母様へ不動産の所有権が移転して直ぐに、被後見人となる前のお母様が直筆の遺言書で「ご自身が亡くなられたらこの不動産は子どもたちでどう処分するか決めてほしい」という内容を遺していらっしゃったそうです。

※ご相談者の希望により、具体的な遺言の内容や、不動産売却の事実を知った経緯は、ここでは控えさせて頂きます。

しかし、お母様の遺言書の内容が反映されることなく、後見人に就任されていた方が施設への入居費用等の捻出のために、お母様名義の土地や家屋を売却されていたことがわかったそうです。

どうして?

ご相談者は、母の遺言書もあったし、子どもの誰も同意してないのにそんなことをしていいものか?

と、本当に腑に落ちず納得いかないご心境があらわでした。

しかし、この後見人の方は遺言書があったことを全く知らない状況で就任していたこと、お母様の遺された財産である、不動産の売却代金と入居されていた施設の費用を差し引いたものを含めて計算書のようなものと一緒に相続人の皆さまにお返ししていることや、不動産を売却された理由がお母様のためにしたこととして特段法律的に問題はなかったということになったそうです(実際にこのような事案は後を絶たないようです)。

ご相談者の心境も、「私たちの代わりに母の後見人としてお努めいただいたのは感謝しているが、せめて身内の私たちに一言でも聞いてから不動産をどうするかなど決めて欲しかった。終わってから言われても・・・というところでした。

結局私もお話を聞かせて頂いただけで、何もお力になれませんでした。

(さいごに)

遺言書については作成しておくだけでなく、皆さんが存在を認識できるような方法で保管することも、作成と同等以上に重要です。本件は、遺言書の存在を後見人の方が知っていれば、少なくとも、知らないうちに不動産が売却されていたという状況は防げていたかもしれません。

本件のように、お身内以外の人が後見人等へ就任されるケースでは、遺言書の存在がお身内で分かっているときは、その旨を必ず後見人にお知らせし、

たとえ遺言書が見つからなくても(作成自体していないと思われるようなときでも)、「お手間を取らせて非常に申し訳ないのですが、(親などの)不動産等重要な財産を処分(売却等)する可能性があるときは、必ず私たち(子、親、兄弟姉妹など)に事前に相談するようにお願いできませんでしょうか?」など、

お話合い等の上で双方が同意した約束事を持っていた方が良いかもしれませんね。これには確定的な法的な効力までは期待できないかもしれませんが、約束事を書面等にしてお互いに保管しておくことで、相応の抑止力は期待できるのではないかと思われます。

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