墓じまいとは、現在のお墓を解体・撤去して更地にし、墓地の管理者へ土地を返還した上で、取り出したご遺骨を別の場所(納骨堂や樹木葬など)へ移す(または改葬する)一連の作業や手続きのことです。
「永代供養」と「墓じまい」の関係性
・墓じまいは、
「今あるお墓を撤去して更地に戻す行為」のこと
・永代供養は、
「お寺や霊園が家族に代わって遺骨を管理・供養する方法」のこと
墓じまいあとの遺骨受入先
1)墓じまい後、お墓のあった菩提寺等の管理者に、合碑等で以降の遺骨管理や供養をまかせることの総称を「永代供養」と言います。
2)墓じまい後、「永代供養以外の方法」で、遺骨を管理供養する事を「お墓の引っ越し」「手元供養」「散骨(主に樹木や海洋など)」などと呼ぶ場合もあります。
「墓じまい」の流れの中には、墓石を撤去してお墓から出した遺骨の供養・管理方法が含まれる事になります。
具体的な流れと手続きは、主に以下に沿って進めます。
親族・家族との相談
突然「墓じまいすることにしたよ」と決定事項で伝えるのは避けた方が良いですね。まずは、「相談ベース」で話を持ちかけましょう。例えば「お参りや管理が難しくて悩んでいる」と弱音を吐くようなアプローチで現状の課題を共有するスタンスが宜しいのではないかと。
代替案をセットで提案
「先祖供養をやめるわけではない」ことを示すため、樹木葬や納骨堂、手元供養や永代供養墓など、次世代等の継承者が必要無くなるような、新しい供養先の選択肢を具体的に提示します。
例えば、最近利用者の多い海洋散骨などであれば、一部の遺骨だけ小箱などに入れて仏壇で供養管理し、それ以外の遺骨は海洋散骨するなど。
費用負担について明確にする
墓じまいには数十万円規模の費用(内訳例(数字は「約」):墓石解体撤去20万円、閉眼供養10万円、離檀料20万円のほか、海洋散骨、合祀・樹木・納骨堂・個別墓10万円から選択によっては100万円を超えるものもあるでしょう)がかかるため、「誰がいくら負担するか」を曖昧にせず話し合っておく必要があります。
相見積もりの活用
供養や離檀に関する費用は難しいかもしれませんが、その他の撤去解体や新たな供養方法については、様々な業者等から「相見積もり」を取って、一時的な費用だけになるか、選択後も定期的に費用負担が生じるかなど、よく吟味してから決定するのが無難と言えるでしょう。併せて、自治体での補助金制度の有無も調べておきましょう。
同意書などに親族の署名押印など
後々のトラブルを防ぐため、正式な同意を得て、関係する親族全員の署名・押印が入った同意書(書式自由)を収集しておくと、行政手続など含め、その後の場面場面でスムーズに事が運ぶでしょう。
親族に相談する重要性
お墓はその家の象徴でもあるため、後継者不足や管理が難しい事情を説明し、親族間で墓じまい・その後の供養方法、これらについて同意を得ることが最初の重要なステップです。
新しい納骨先(改葬先)の決定後の書類について
墓じまい後の遺骨が適切に管理されているかについては、法律でも市区町村長の許可を得て行うよう、法律で義務付けられています。そのため、改装するには役所備え付けの書類に必要事項を記入して提出する行程が入ってきます。
①受入証明書(新しい改葬先からもらう)
先に、墓じまい後はどこに遺骨を移動するか・移動先が受入れることを承諾しているかの証明書を取得します。
そのために、希望する新しい墓地や霊園・納骨堂などを探して契約後(改葬許可出たら正式に契約することを前提に、先に受入証明書だけお願いすることも出来る場合が多いです)、新しい管理者等から「受入証明書(墓所使用承諾証)」を発行してもらいます。
②埋葬・埋蔵証明書(現在のお墓の管理者からもらう)
現在のお墓の管理者(菩提寺や霊園)に、①受入証明書があることを前提に、改葬の意向を伝え、「埋葬(埋蔵)証明書」を発行してもらいます。この際、菩提寺がある場合は「離檀」の手続きも必要になります。
③改葬許可証(自治体からもらう「許可」のこと)
この③改葬許可証は、前述した「新しい受入先の①受入証明書」「現在のお墓の②埋葬・埋蔵証明書」が揃うと取得できるようになります。
取得するためには、現在のお墓がある市区町村役場で「改葬許可申請書」を入手し、必要事項を記入します。この申請書に「①受入証明書」と「②埋葬・埋蔵証明書」を添えて提出することで「改葬許可証」を交付してもらうことが出来ます。
遺骨の取り出し・新しい墓地への納骨
①受入証明書・②埋葬・埋蔵証明書・③改葬許可証のすべてが揃ったら、現在のお墓で閉眼供養(※お墓等に宿るとされる故人等の魂を抜き、「石や木など」へ戻すための仏教儀式で、その趣旨は世話になった菩提寺へのお布施(住職に渡す供養代)の位置付けと考えて相違ありません)を行い、遺骨を取り出します。
墓石の撤去・解体と墓地の返還
主に、石材店が墓石の解体・撤去作業を行います。墓石だけでなく、カロート(納骨室)や外柵(囲い)も撤去し、解体後はコンクリートなどを取り除き、更地にして整地を行います。発生した廃材は、産業廃棄物処理場へ運搬され適正に処分されます。
この場合の費用も、お墓が区画の真ん中にあったりするとクレーン車などが入れずに手作業となり、費用負担が増える場合もありますし、逆に区画の外郭であれば車両も荷積みもスペースがに余裕がある分、人件費等が安価で済む事もあるようです。
墓地の返還と納骨
更地にした墓所を墓地管理者に引き渡し(返還・巻石撤去完了の確認)ます。石材店に依頼して墓石を解体・撤去し、墓地を元の更地(原状回復)にして管理者に返還します。
お寺などの管理者とは友好的に
お寺経営は、檀家による年間管理費や彼岸・お盆・命日・回忌法要時の供養代などが大きな収入源です。墓じまいして改葬するということは、そういった収入源が途絶えてしまうことを意味します。
同じ寺に永代供養を依頼するのであれば、お布施も多めに受取ることが出来ますし、墓じまいにも好意的かもしれません。
しかし、違う墓地や寺への改葬や手元供養・散骨となると、笑顔でという訳に行かないお寺等も出てくるでしょう。すると、閉眼供養のお布施、離檀料、墓地の原状回復時に割高な費用を提示されてしまう可能性もあると思いますし、これは仕方のない事とも言えるかもしれません。
ですので、現在のお寺と繋がりが無くなっていく方向での改葬の場合、友好的な距離で最後までやり取りすることを心掛けて下さい。
お寺にも「最初は悩み相談」のスタンスで
親族に相談する場合の章でも触れましたが、突然「墓じまいします。違う寺に移します」と決定事項で伝えるのは避けた方が良いですね。
まずは、「相談ベース」で話を持ちかけましょう。親族相談時とほぼ同じで「お参りや管理が難しくて悩んでいる」と弱音を吐くようなアプローチで現状の課題を共有するスタンスから入り、少しずつ布石を打ちつつ・お寺の反応も見ながら、あなたの親族とした決定事項を打ち明けるようにしていくと良いと思われます。
お寺や親族には手紙も有効
面と向かって親族やご住職に打ち明けにくい時は、手紙(EメールやSNS等は避けて下さい)を作って郵便で送るのも一つの有効な方法と言えます。手紙だと1通目で悩み相談、2通目で布石、3通目以降で結論・行動着手・・このようにも出来る上、即時性のあるデジタルでのメッセージよりも、相手に「心の準備」をする余裕が生まれるでしょう。
面と向かうと、感情論になったり、話が脱線して中々進まなかったりすることもありますが、その点、古来からの方法での「手紙」は、手書きでもパソコン入力でも、それが切手の貼った封筒に入って届くと、随分違うものだと言えるでしょう。
新しい納骨先へ
事前に決めておいた新しい納骨先に「改葬許可証」をもとにした方法で遺骨を納めます。
永代供養の場合
主な場面は、菩提寺Aの墓石区画の一角にある個墓に埋葬されていたご遺骨を取り出して個墓区画を整地して原状回復した後、同じ菩提寺Aの敷地内にある納骨堂や合碑に改装して、以降の管理・供養を菩提寺Aに依頼すること(基本的に、年間の管理費その他の供養布施代は永代供養料に含まていて、経済的負担は今後生じないのが特徴)。
新たな個墓への引っ越しの場合
例としては、菩提寺Aから菩提寺Bに遺骨を引っ越しするものが挙げられるでしょう。
新たな管理者になる菩提寺Bに改葬許可証を提出し、新墓(新しく作るお墓)又は既墓(もともとあるお墓)において、開眼供養(新しく建てたお墓や、購入した仏壇・位牌などに僧侶がお経を唱え、「ただの物」から「礼拝の対象(魂が宿る場所)」へと命を吹き込む儀式のことで、御遺骨の数によって数万円〜十数万円をお布施するのが一般的)を行って遺骨を納骨します。
手元供養や海洋散骨などの場合
墓じまい後の遺骨をそのまま手元供養(自宅の仏壇に遺骨を納め管理・供養していくこと)する場合、自治体によっては改葬許可証を出してくれなかったり、詳細な説明を求められるケースも有るようです。場合によっては現在の菩提寺Aが「その理由では埋葬証明書は出せない」とトラブルになったりすることも実際あります。
手元供養(自宅供養)したいときの方法
私事ながら、弊所のある宮城県仙台市では、菩提寺Aを墓じまいして手元供養したい場合、一旦ご遺骨を保管しやすいよう小さくする(粉骨)ことを専門とする業者で受入れることにすることで「受入証明書」を入手する方法があります。
もちろん全国の市区町村でこの方法が出来る・出来ないが存在するとは思いますので確認は必要です。ただ、こういった方法で受入証明書が揃えば「改葬許可証」も取得するのが容易になり、希望通りの手元供養を行うことが出来るようになるでしょう。
海洋散骨したいとき
関係省庁で定められたルールとして「散骨で認められる2ミリ以下までの粉骨」を行い(それ以上だと発見時に事件性を疑われる事もありますので遵守が必要です)、国土交通省、海上保安庁、漁協組合などの関係機関で定められている法令や慣習を守り、その中で許容される海域等への散骨を行うことが必要です。
こういった一連の流れは、その始まりから終わりまで、粉骨や散骨を専門とする業者が代わって対応してくれる場合もあります。
まとめ
このように、一言に墓じまいと言っても・・・
親族への相談・同意、墓じまい後の遺骨の保管・供養方法の決定
市区町村に提出する手続書類の取得や作成
現在のお墓のご住職などとの友好関係の維持
永代供養、閉眼供養・開眼供養、離檀料、墓地の原状回復等の費用
墓じまい後、最初に決めた方法での、保管・供養に至るまで・・・
いろいろな行程を経る必要があります。
こういった一連の諸対応に不安がある時は、頼りになる親族に相談したり、直接の相談が億劫であれば、手紙を書いて今の思いをお寺や身内に打ち明けるのも一つの方法でしょう。相談もちょっと・・・手紙もうまく書けなそう・・・もしそんな現状であれば、弊所にご相談下さっても結構です、何かのお力にはなれるかもしれませんので。
これからの祭祀法要・・・
一昔前であれば「罰当たり」「お寺にそんな事言えない」「葬儀費用は高いもので絶対やらなければならない」そんなのが常識でした。しかし、コロナ禍以降、祭祀法要についての考え方は激変しています。あなたの考えは、あなたの子や孫の世代になると更に加速して「お墓は最初からいらない」「葬儀はこじんまりでいい」「お墓も葬儀も安い方法で構わない」となっていったとしても、それはごく自然なのかもしれません。
墓じまいの流れとともに、思いを行動に移すのは早い方が良いのは確かですね。
























