行政書士の仕事とは

お知らせ

行政書士は、遺言書や契約書などの権利義務・事実証明に関する書類作成を行う国家資格者です。他にも、役所等の官公署(例:各省庁【国土交通省、厚生労働省など】、都道府県庁・市区町村役場や合同庁舎・警察署・陸運局・出入国在留管理庁など)に届出・申請をする際に、本人に代わって必要な書類作成・取揃えに加え、実際の手続きを代行する専門家でもあります。

行政書士の仕事:その1
遺言・相続・生前贈与など

「遺言」「相続」「生前贈与」は、いずれもご自身の財産を、大切な人に引き継ぐための制度や行為ですが、「誰が」「いつ」「どのように」渡すのかに違いがあります。

遺言について

「遺言」を作っておき、その中で「私が死んだら、長男に土地建物を、長女にA銀行預金を」と指定できるため、遺言者が亡くなった後の財産の分け方がスムーズになります。

遺言は、大別して自筆証書遺言と遺言公正証書の2種類あります。何れもメリット・デメリットありますが、作成する時点で相続人が何人いるか? 財産にはどのような種類があるか? 遺産総額はどのくらいになりそうかなど、全体を見渡して、2種類の何れかを選択するのが望ましいでしょう。

しかし、ひと口に遺言書と言っても、本文のほか財産一覧図(通帳コピー、金融資産の証券、不動産登記簿など)、本人含めた相続関係者の戸籍・除籍・戸籍の附票・住民票などを揃えておく必要性があり、法定相続分や遺留分、完成後の遺言書をどの様に保管するか・遺言の内容を誰に実現させるか(遺言執行者の指定など)、簡単に見えて中々時間と手間のかかる行程が散見されるのも一つの特徴です。

行政書士は、こういった遺言書作成時の煩雑な事務作業等を代行して、希望に沿っていて、かつ、紛争の未然抑止を兼ねた法令的に適切な内容の遺言書作成を手伝う専門家です。

相続(遺産分割協議)について

遺言書がない場合で、2名以上の相続人がいると、その相続手続きを進行するためには「遺産分割協議」をいう行程を経る必要があります。簡単に言えば複数の相続人全員で遺産の分け方を決定すると言うことです。

遺産分割協議が済んだら、それに全員の署名・押印(印鑑登録証明書の印影と同じ実印)を施した、遺産分割協議書(財産の分け方が明確に記載されたもの)を作成します。これが遺言書の代わりになって、銀行や不動産の相続手続きを進めることが出来るようになります。

しかし、この場合も、財産一覧図(通帳コピー、金融資産の証券、不動産登記簿など)、故人(被相続人)の出生から死亡までの戸除籍や、相続人の戸籍・除籍・戸籍の附票・住民票、印鑑登録証明書(銀行などの場合は交付から6か月や3か月以内などの期限あり)の取揃えに加え、遺産分割協議書を不動産用、A銀行用、B信金用・・・など、複数作成するケースもあったり、印鑑登録証明書の期限切れで何度も取得することを避けるために、法定相続情報一覧図の請求取得(戸籍の束を一枚の家系図にして法務局認証印を施した書類で、何十枚も交付可能。複数の銀行や保険、不動産手続きを同時進行できるようになる)などが避けれない場面が生じることも少なくありません。

行政書士は、こういった遺産分割協議書作成から戸除籍の代行取得・法定相続情報一覧図の交付請求取得、ご要請があれば書類作成だけでなく、実際の金融機関等含めた遺産の相続手続きの煩雑な事務作業等を代行して、必要に応じ税理士や司法書士とも連携しながら平穏かつ迅速に相続人の方々への預貯金のご入金含めた各種遺産の名義変更をお手伝いする専門家です。

生前贈与について

例えば、母名義の土地に建つ家に、母本人とともに同居する長男夫婦・孫がいたとします。長男は次男との二人兄弟としましょう。

このまま遺言書がないまま母の相続が始まると、故母名義の土地建物は、長男と次男が2分の1ずつ相続する事になるので大変です。

仮に、遺言書で「土地建物(評価額1500万円)は、ずっと同居してくれた長男へ」と書いていたとしても、他の遺産が預貯金100万円程度などで、とても不動産とのバランスが取れなくなったりすると、次男から長男に対し、遺留分(いりゅうぶん:遺言書の内容にかかわらず、法律で定められた一定の相続人が「最低限もらうことができる遺産の取り分」のこと)を請求される可能性があり、こうなると不動産の行く末に暗雲が立ち込めるでしょう。

これは一例ですが、このように「現金の贈与」だけでなく、現状の生活を相続発生後も維持するため、母が元気なうちに同居している長男へ、土地建物をあげておく方法を「生前贈与」と言います。生前に長男名義に変われば、母の生前・死後に関わらず、長男夫婦とその子は引続き土地建物に居住し続けることが出来ます。

こういった「多額の贈与」に該当する場合は、贈与税だけでも数百万円にのぼりますので、翌年の贈与前申告時に「相続時精算課税制度(詳細は割愛しますが2,500万円まで贈与税が非課税になる制度)」を利用するのが無難です。

これらの手続きには、行政書士のほか司法書士(不動産の登記手続き)、税理士(相続時精算課税制度の利用時)も必要となってきます。こういった各士業を跨いでの煩雑で難易度の高い手続きにおいても、平穏かつ迅速・正確に贈与手続きの始まり〜終結までをサポートする、行政書士はそのような専門家の一面も持ち合わせています。

その他

個人の終活や相続に関するトラブル防止のためのサポート、財産管理のほか、任意後見や成年後見に関するサポートなどを行うこともあります。

行政書士の仕事:その2
権利義務・事実証明に関する書類

「権利義務又は事実証明に関する書類」とは、個人の権利の発生・変更・消滅をともなう意思表示や、社会生活にかかわる重要な事実を証明するために作成される文書の総称です。国家資格である「行政書士」の独占業務の中心となる書類を指します。

各種契約書など

主に、賃貸借契約書、売買契約書、贈与契約書などがありますが、ここでは「貸借」契約について触れていきます。

賃貸借について

賃貸借(家賃あり・更新あり)

「賃貸借契約」書は建物や土地の貸し借りを、有償で行う場合、家賃や地代が何万円とか、敷金礼金は・・・備品等の交換は誰が・・・毎月何日に払うか、使用のルールはこうこうです・・・お互いに解約等の意思表示がなければ2年毎自動更新などを約束しておくもの。馴染みのある場面ではアパート・マンション・貸家などを借りる際などをイメージしていただくと良いでしょう。

定期貸借(家賃あり・更新なし)

同じ賃貸でも「定期賃貸」の場合は期限を決めて更新がないもの・・・例えば2026年4月1日開始〜終了2028年3月31日の2年で定期賃貸借契約とすると、自動更新はなく終了日で契約も終了となります。この場合、定期賃貸借契約なので更新はないことを確認の上署名押印する旨の事前説明書、終了の1年から半年前に、改めて「更新はないので」終了日までに原状回復して退去下さい・・・という通知書なども必要になる契約です。

使用貸借(家賃なし・更新・期限の時期が不透明)

例)
最も典型的なのは、親名義の土地に子が住宅を建てて土地代を負担せずに無償で暮らしているケースなど。これも用語的には「使用貸借(しようたいしゃく)」になります。他にも親が所有する住宅に、成人した子どもが無償で同居・居住するのも使用貸借にあたるでしょう。親子の場合は、殆の場面で使用貸借契約書など交わしていることは無いと思います。

しかし、親子間などであれば「借りてる・貸してる」という意識は希薄になるでしょうから、よほどの事が起きない限りは大きな問題にならないでしょう。

問題(親族や友人知人との使用貸借)

一方、親子以外の親族、友人知人等の場合少し懸念が生じます。

例えば、父の土地に叔父(父の弟)名義の家が建ち、地代も貰わないままの状態が何十年も続いていたとします。

しかも契約書らしきものも交わした形跡がなく、そのまま父が死去しました。

子は父の土地を相続しましたが、既に自分の家を所有しており、父の家は解体して、土地とともに処分したいと思っていますが、叔父に中々それを言い出せません。でもこのまま解体しても、土地が売れなければ解体費用も回収できないまま固定資産税を負担し続ける必要もありますし、解体しなければ修繕管理費用や地震火災保険の負担もずっと終わりません。こういう事態に遭遇して認識してから「契約書の重要性」に気付く方が少なくありません。

貸借契約各種のこと

このように、一般的な賃貸借契約だけでなく、定期賃貸借契約や使用貸借契約などがあり、それぞれにおいてメリット・デメリット、将来的に懸念が生じるもの、落とし穴のようなトラップが知らぬ間に含有されているものなど、その問題を目の当たりにするまで気づかないまま時間が経過してしまうケースも少なくありません。

行政書士はこういった貸借契約の場面においても、紛争の未然抑止を念頭に置いた、法令調査、契約書等の文言・法律条文の引用などを通じてサポートする専門家です。

内容証明郵便(内容証明書)

内容証明郵便とは「いつ、誰が、誰あてに、どんな内容の文書を送ったか」を郵便局が公的に証明してくれる郵便サービスです。将来的に裁判などのトラブルに発展した際、「言った・言わない」の言い逃れを防ぐ強力な証拠になります。

内容証明が利用される主な場面

1)金銭の請求・督促: 売掛金、家賃、貸付金などの支払いが滞っている場合

2)契約の解除: クーリングオフ、賃貸借契約や雇用契約の解除の通告

3)損害賠償の請求: 交通事故や不貞行為などによる慰謝料・賠償金の請求

4)時効の猶予・中断: 債権の時効が成立するのを猶予させたい場合

5)宗教法人の会員としての地位を脱退する旨の証拠として通知する場合

内容証明郵便の主な効果・メリットは、郵便局が文書の控えを5年間保管するため法的証拠にできることや、通常の郵便よりも厳格な書面であるため、相手方に誠実な対応を促す効果が期待されること、 民法上の「確定日付」が認められ、文書がその日に確実に存在していたことを証明できることなどが挙げられます。

ただし、内容によっては※弁護士法72条に抵触する場合がありますので、すべての内容証明郵便を行政書士が扱うわけではありません。揉め事になっている事案はもちろん、揉め事になることが避けられない、揉め事になる可能性があるものなどは、行政書士ではなく、最初から弁護士事務所へ相談したほうが良いでしょう。揉め事の解決は行政書士の仕事ではありませんし、法律でもそういった事務を行政書士が取扱うことは堅く禁じられています。
第七十二条(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)の要旨:弁護士・弁護士法人でない者が、報酬目的で訴訟事件・不服申立事件・一般の法律事件の代理・鑑定・和解等の法律事務、またはその周旋を業とすることは禁止されています。

その他私文書(覚書、合意書、手紙など)の起案代筆

「個人と法人の間」「個人と個人の間」「法人と法人の間」でのやり取りになるもので、前述した内容証明書や契約書もこの私文書に含まれます。前述したもの以外で触れていくと下記のようなものになります。

合意書、覚書など

合意書は当事者間で何らかの事項について意見が一致したことを確認し記録する文書。覚書は当事者間で合意した事項を記録・確認・補充するための文書です。

どちらも当事者間の約束事や合意内容を書面化したもので、法的な効力を持つ点は契約書と同じです。

手紙など

いきなり内容証明郵便を送り付けたり、疎遠や面識のない方へ一方的に要望を伝えると、揉めなくてよかったものが、たちまち険悪なムードに展開してしまうことが意外に多いです。その場合、まずは挨拶程度に手紙を書いて送り、次に今後の展望や相手の要望などを伝えながら確認し、頃合いを見て双方に無難な提案をするといった手順で行うと、時間や手間がかかるように見えても、費用も安価で近道だったりします。

私文書について

合意書や覚書、手紙などもそうですが、共通しているのは「紛争の未然抑止」に関するものであることです。

こういった、平穏かつ公然な意思表示・意思確認を約束事として書面化する・代書するのも、本来の行政書士の仕事と言えます。

行政書士の仕事:その3
許認可の届出・申請など

こちらの大半は経営等のビジネス関連についてのものが多く、基本的には事業主の方々が対象になるかと思います。

様々な営業関係許可・免許・認可などの新規取得・更新・変更手続き(許可は申請後に合否の審査があります)

届出(書類に不備がなく要件を満たしていれば、提出した時点で完了(受理)となり合否の審査がありません)

こういった許認可・届出などの管轄主体である、各省庁【国土交通省、厚生労働省など】、都道府県庁・市区町村役場や合同庁舎・警察署・陸運局・出入国在留管理庁などの行政機関の担当窓口へ、提出すべき必要書類の作成・取揃え・提出の代行までを行うのも行政書士の専門業務です。

営業許可の例

建設業、運送業、産廃業、宿泊業、飲食業などがあり、これらは申請後に合否の審査があります。

営業認可の例

学校法人、認可保育園、私立学校などで、当事者間で成立した契約やルールについて、第三者である行政機関が承認することで、初めて法的な効力を完成させる行為を言います。業種からお察しの通りで、許可より更に厳格な審査基準が設けられています。

営業免許の例

酒類販売業(酒類販売業免許)、不動産業(宅地建物取引業免許)などがあり、一定の技術や資格を持つ人に対して、特定の行為を行うことを許可するものへの権利や資格の付与です。試験や講習に合格するなど、特別な能力が求められるため、行政に一定の判断(裁量)があります。行政書士などもこの免許に該当します。

営業届出の例

古物商、探偵業、貨物利用運送事業(第一種)などがあります。要件を満たせば受理されて営業できるものです。

許認可・免許・届出について

世の中には事業上で必要な、数多くの届出、許可、認可、免許等がありますが、その殆どで人的・物的・財産的要件を求められます。

人的要件なら、資格者(国家資格者・必要講習修了者など含む)、技術者や管理者の経営能力など含めた経験年数など

物的要件の例で言えば、車両台数、事務所や駐車場・作業設備など

財産的要件だと、自己資本や資金調達能力の証明など

定められた法定様式の書類も去ることながら、添付資料としてレイアウトを模した見取り図を作成したり、車両の車検証、事務所や設備、使用車両の写真を揃えるのも相当な手間になります。加えて、後見登記されてないことの証明書、課税非課税証明書、住民票などとともに、内容によっては交付から3か月以内とか、土地や建物を借りてる場合は賃貸借契約書、所有している場合は登記事項証明書も必要となったりします。

行政書士は、希望に沿っていて、かつ、速やかに営業活動を開始できるようにするために、こういった許認可取得までの煩雑な事務作業等を代行する専門家でもあります。

行政書士の仕事:その4
外国人在留資格・国際業務

日本で働きたい、あるいは暮らしたい外国人のためのビザ(在留資格)申請や、国際結婚・帰化などの手続きを代行します。

在留資格認定証明書交付申請

在留資格認定証明書(COE)の交付申請は、海外にいる外国人を日本に呼ぶための事前審査手続きです。

在留資格変更許可申請

在留資格変更許可申請は、現在日本にいる外国人が別のビザ(例:留学就職、就労配偶者)に変更する手続きです。

永住許可申請

永住許可申請とは、現在日本に中長期滞在している外国人が、在留期限や活動内容に制限のない「永住者」への在留資格変更を希望する際に行う手続きです。

国籍取得届

国籍取得届とは、日本人の父から出生後に認知された子どもなどが、一定の要件を満たした上で法務大臣へ日本国籍の取得を届け出る手続きです。帰化申請とは異なり、要件を満たしていれば届出のみで日本国籍が取得できます。

帰化申請

帰化申請とは、現在日本に住んでいる外国人が日本の国籍を取得し、日本人として暮らすための法的な手続きです。

行政書士の国際業務について

帰化申請以外の、在留資格、永住、国籍取得の申請代行はすべての行政書士が行えるわけではありません。

行政書士の中でも「申請取次行政書士」と呼ばれる、出入国在留管理庁(入管)への手続きを代行するため、法令等で定められた必要な講習等を修了している行政書士のみが取扱うことが出来ます。申請取次行政書士は出入国在留管理庁に登録された証(登録No.も証に付与されている)を持っています。

国際業務を行政書士に依頼検討中の際は、申請取次できる行政書士なのかどうかも併せて確認が必要です。

※弊所では申請取次は行っておりませんのであらかじめご留意下さい。

行政書士の仕事のまとめ

このように、相続遺言に関することをはじめ、権利義務事実証明、私文書や行政許認可・出入国在留管理庁業務など、その範囲は多岐に及び、推定で1万種類以上とも言われる書類を扱います。しかし、すべての行政書士が1万種類の書類に精通しているわけではなく、各々の専門分野があるのも知っておくと良いでしょう。

例えるなら飲食店。
生そば、ラーメン、回転寿司、本格寿司、牛丼、とんかつ専門、中華全般、ファストフード、スイーツ専門、カフェ、フレンチ、韓国料理などの多国籍料理、居酒屋、スナック、ファミレスチェーン店、個人店など・・・同じ飲食業とは言えパッと浮かぶものを挙げただけでもコレだけ出てきます。

行政書士事務所にあっても、この例に挙げた飲食業界の例えに当はまることも意外と多く、相続専門、建設業専門、自動車専門、内容証明専門、農地専門、産廃業専門、風俗営業専門、出入国在留管理庁専門など・・・各行政書士が各々に強みである得意分野、いわゆる専門分野があるのです。

もし行政書士を利用したい、相談したいとお考えになる場面などありましたら、各事務所の専門分野をHPなどでお調べになってから問合せてみると、スムーズに要望を伝えることが可能となるのではと存じます。

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伝承されたものを謙虚に受継ぎ、時代応じ知識・技術を習得(終わりはない)、幅広い知識と、自我を混入させない心・視野を信念として・・・  代言人は弁護士へ 代書人はその他の士業へ 言葉と文字

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