終活(しゅうかつ)とは、人生の最期に向けて、自身の財産、医療・介護、葬儀やお墓などの希望をまとめ、身の回りを整理する活動です。最大の目的は、遺される家族の負担を減らし、残りの人生を自分らしく安心して過ごすことにあります。
終活の主な内容
終活には決まったルールや順序はありませんが、一つ言えるのは「頭の中で考えてはいる」、子どもに「私が旅立ったらこうして欲しいと口頭で伝えている」などだけで、書面などに残っていないと、その思いは伝わならい事もあったり、生前にそう言われていたけど・そうしたかったと言ってたようだけど、実際にその場面が来るとちょっとその通りにはね・・・となったりする事は少なくないようです。
ですので、皆さん一度は耳にされたことのある「エンディングノート」のようなものを作り、そこに手紙や日記に近い書面で、あなたの思いや考え、なぜそうしたいのかの理由等を書き添えておくのが、終活にとっての重要な行動の一つなのかもしれません。
エンディングノートの作成
エンディングノートとは、自分にもしもの事(病気、認知症、死など)が起きた時に備えて、残された家族に伝えたい希望や必要な情報をまとめておくために作るものと言えます。
遺言と異なり法的な効力はありませんが、ノートに書く内容は自由で形式に決まりもありません。自分のペースで書きやすい項目だけ埋めれば良いのが一つの長所と言えますが、下記のような内容も書かれていると、尚良いのではないかと思います。
1)自分の基本情報(本籍地、マイナンバー、保険証の場所など)
2)資産の情報(銀行口座、クレジットカード、スマホのパスワードなど)
3)医療や介護の希望(認知症になった時の希望、延命治療についてなど)
4)葬儀・お墓の希望(お葬式の規模、お墓の場所など)
5)家族へのメッセージ(感謝の言葉など)
もちろん、実際の相続手続きや祭祀法要の場面になると、1)から5)以外にも求められる必要事項は多いですが、あくまで遺言書ではなく「エンディングノート」という前提であれば、自由に書けるメリットも鑑みて宜しいのではないかと存じます。
エンディングノートは遺産分割協議の参考資料になる
なお、エンディングノートの中で財産の分け方を書き記すことも問題ありませんが、それが法的に効力を発揮する訳では無いことに、改めて留意することが求められます。
エンディングノートは、遺言書がない場合の遺産分割協議の際に「参考資料」として考慮されると位置付けての作成を心掛けてみて下さい。
エンディングノートと同時に、遺言書も作りたいとき
エンディングノートと遺言書は目的が異なりますが、「財産の分け方は遺言書」、「家族へのメッセージや葬儀の希望はエンディングノート」と、同時に作ることは非常に効果的と言えるでしょう。両者の長所を活かし合うようにスムーズに準備を進めるのがコツです。

遺言書は、財産の分け方に法的な効力を帯びるため、厳格なルール(自筆または公正証書)が存在します。
エンディングノートは、法的効力が伴わない分形式は自由で書き直しも容易に行なえます。特に遺言書に直接記すのが難しい祭祀法要、生命保険含めた財産の一覧表、他にも「預貯金や保険証券の場所」「延命治療・介護の希望」「ペットの世話」などお願いしたいメッセージや分け方の理由などを書いておくことができます。
エンディングノートと遺言書の内容を一致させましょう
万が一、エンディングノートに書いた内容と遺言書の内容が矛盾した場合、遺言書の内容が優先されます。混乱を避けるため、財産の分け方についてはエンディングノートに詳細を書かない方が無難と言えます。
エンディングノートに「財産を〇〇に譲る」と書いても法的効力は生じません。確実に譲りたい場合は、必ず遺言書の方に「財産を〇〇に譲る」と記載するようにしましょう。
財産の整理と相続の準備
このようにして、預貯金、不動産、有価証券などの財産目録を作り、遺言書の作成などを通じて自分の意志に沿った相続の準備をしましょう。そしてエンディングノートには遺言書の内容を補ったり、遺言書には適さない・書けない部分を記しておくのがベターと言えるでしょう。
生前整理
生前整理(せいぜんせいり)とは、自分が亡くなった後に残された家族が相続や遺品整理で困らないよう、元気なうちに身の回りの「物」や「財産」、さまざまな「情報」を整理しておく活動のことです。
人生の終わりを意識した「終活」の重要なステップの一つとして位置づけられていると言えるでしょう。
一般的な「物」の整理に留まらず、金庫の解錠やデジタル上のID・パスワード、アカウント・認証キー、その他毎月・毎年支払いが生じる様々な契約ごとの「情報」の整理についても、生前整理と称せるのが昨今です。
物の整理(不用品の処分・生前贈与)
整理の対象として最初に浮かぶのは、家財(家具や家電含む)や日用品のほか貴金属や衣類、自動車などのいわゆる「動産(どうさん)」でしょうか。
使わなくなった日用品、衣類、家具などを「必要なもの」「不要なもの」に仕分けして処分します。資産価値のあるものや思い出の品は、生前に家族へ譲る(生前贈与)こともできます。
毎月・毎年の契約事・デジタル遺品の整理
毎月・毎年支払いが生じる契約事(電話や手紙で済むものもあれば、スマートフォンの解除キー、サイト内でのIDやパスワード、アカウントや認証情報がないと、変更や解約が中々難しものもあります)も生前に様々な整理準備必要な項目の一つと言えるでしょう。
パソコンやスマートフォンに保存されているデータ、ネット銀行、証券口座、サブスクリプションの契約、SNSのアカウントなどを整理します。パスワードや解約手続きの方法をまとめておくことが重要です。
財産・資産の把握とリスト化
預貯金、不動産、有価証券などのプラスの財産だけでなく、借金や未払金といったマイナスの財産もすべて洗い出し、「財産目録」を作成します。これにより、死後の相続手続きがスムーズになり、遺族間のトラブルを防ぐことができます。
マイナスの財産であれば、例えば住宅・リフォーム・自動車等のローン・その他借入金のことや、まだ納付が済んでいない公租公課(公的保険料や税金など)などがあります。
事業をされている場合のリスト化
法人、個人事業に関わらず、従業員の給与・福利厚生等の他、事業場の売掛金や買掛金にリース品、月極駐車場代、家賃、敷金、光熱費、保証金、損害保険、事業の相続の有無、原状回復費など、事業経営されている方にあっては、一般の場合よりも数多くのリストが必要になるでしょう。
こういった事業帳簿上のもの以外にも、準確定申告、様々な事業許認可の返納に関すること、法人であれば清算手続き(閉鎖登記、清算後の手続きなどで、年金事務所、法務局、市区町村や都道府県の窓口、税務署等への手続きや届出・申告などもあります)なども付帯します。
生前整理にもエンディングノート・遺言書は効果的
このように、「物の整理」だけでなく「情報の整理」にも、生前整理という文言が当はまると考えると、やはり口頭だけでなく、何かに書いて残しておくことが無難と言えますよね。
書いて残しておくのであれば、前に触れた「エンディングノート」が適しているのではないでしょうか。
エンディングノートの中で、家財貴重品等の動産類に加え(例:AB信託銀行の証券は、2階の金庫:解錠番号・・・・など)、経営してる方は事業に関する整理リスト、スマホやPCに関するデジタル遺品整理に関する情報リストなど書き記しておくのは、とても思いやりのある優れたセンスを感じます。
そして、遺言書の中で実際の財産分け(例:AB信託銀行の定期・普通預金、投資信託の全額を長男の△△に相続させる)をすると、保管場所が分かり、その財産を受取る人もハッキリしていて無用なトラブルも避けられることになります。
生前整理とは「物の整理」「情報の整理」大別して2つの項目が存在することを意識すると、ご自身でエンディングノートを書くときにも、的が絞れて行くのではないかと思います。
医療・介護・葬儀・お墓の希望の検討
「医療・介護・葬儀・お墓の希望の検討」は、将来、自分が判断能力を失ったり、重い病気や介護が必要な状態になった時、そして亡くなった後に備えて、自身の希望するケアや死後のプランをあらかじめ考え、家族に伝えておくための準備です。
具体的には、延命治療の希望や、どのような葬儀にしたいか、どのお墓に入りたいかなどを具体的に考え、家族に伝えておく、人生の終い支度である「終活」においても大変重要な柱の一つと言えるでしょう。
医療の希望
回復の見込みがない場合の延命治療の有無(胃ろうや人工呼吸器など)、希望する痛みの緩和ケア、かかりつけ医の情報などを明確にします。
現代では苦痛・高額な医療費が続いてしまうような延命治療を希望されない人も多いため、「終末医療宣言書」または「尊厳死宣言書」等の中で延命治療やそれらに類似する医療行為は拒否する旨をハッキリ書き記しつつ、それによって医療従事者の方々や決断をした家族親族等に、一切の責任を負わせない、あくまで宣言者自らの強い意志で懇願したことである・・・
このような内容をエンディングノートや宣言書で残されケースが珍しくありません。
もし延命治療等について拒否したいという希望が強い場合は、「終末医療宣言書」または「尊厳死宣言書」を書き、その中で家族や第三者(行政書士なども可)2名程度にも文末に署名押印して「証人」となってもらい、実際その場面が来た時に医療関係者に提示することも出来るでしょう。
介護の希望
高齢や障がいなどで支援が必要になった際、「どこで、誰から、どのようなケアを受け、どう生きたいか」というご本人の意思や要望を指します。これらは「自分らしい暮らし」を最期まで続けるための重要な指針となりますし、認知症などで判断能力が低下した場合にも、自宅(在宅介護)か、施設に入居したいかなどを検討したり、サービスを受けるための資金計画等の目安にもなります。
生活の場所は、住み慣れた自宅で暮らしたいか、または、施設(特別養護老人ホーム、有料老人ホームなど)への入居を希望するかは、家族構成や本人の希望が最も重要とされるところですね。
自宅で生活を続けるのであれば、出来る事は自分で行いたいかの有無・希望するサポート内容としてデイサービスや訪問介護・訪問看護のこと。
処方箋について薬剤師も訪問にして欲しい、定期的に往診で医師に来てもらって診てもらいたいなどの、医療ケアやリハビリのこともあるでしょう。
こういった介護の希望を・趣味や日課を続けたいか将来の希望を書き留めておくことは、いざという時にご本人の意思に沿ったケアを受けるために非常に役立ちます。
祭祀法要の希望
「祭祀法要の希望」とは、ご自身のお葬式やその後の法要(〇回忌など)、またお墓の管理について、「どのように供養してほしいか」の希望や意思表示の事と言えると思います。
葬儀の希望
希望する葬儀の規模(家族葬か一般葬かなど)、宗教・宗派の指定、喪主を務めてほしい人、お呼びしたい人のリスト、遺影の希望など、従来を踏襲した一般的な葬儀業者へ依頼して、お通夜・告別式・出棺など一通り行うものがあります。
しかし、一時の「コロナ禍」を経験した方々の中には、遠方からワザワザ来てもらったり、香典もらってお返しして・・・等の行為が精神的にも経済的にも大変な労力を要するのでと、「葬儀は近親者や家族だけで済ませて欲しい」「葬儀そのものをしなくて良い」という要望をお持ちの方が以前より劇的に増えているのも確かです。
こういった葬儀内容・葬儀そのものの有無の希望は財産の分け方に重きを置く遺言書には馴染まない事項ですので、エンディングノートでしっかり意思を示しておくことが重要でしょう。場合によっては死後事務委任契約(自分が亡くなった後に発生する様々な手続きや雑用を、あらかじめ信頼できる人に代行してもらうための生前契約のこと)というものを締結し、より確実に希望を反映してくれるようにされるのも一考かもしれません。
場合によっては「葬儀費用は〇〇万円まで(それ以上費用がかかる場合は他の葬儀社を利用など)」や、「香典は一切不要」等として、香典返しや御礼の挨拶などの手間や費用が、必要以上に膨張しないように・・・という思いも込めることが出来るでしょう。
お墓の希望
ご自身が亡くなった後のお墓の形態、場所、管理方法(永代供養など)に関する意志や要望を残されたご家族が迷わず適切に供養できるように示しておく事も、祭祀法要の希望の一つですね。
先祖代々のお墓に入るのか、新しいお墓(樹木葬や納骨堂など)を希望するのか、遺骨の散骨など埋葬方法に関する意思をまとめます。菩提寺があったり、家族や配偶者が眠る場所に埋葬してほしいという方々が一般的と言えると思います。
しかし、こちらも葬儀同様、従来のお考えとは異なる希望を持たれる方が増えたようです。
お墓不要という考え
少子高齢化も要因の一つと言えますが、特にコロナ禍を経て葬儀同様に、お墓そのものの捉え方が大幅に変化してきているようです。
遠方でお墓を管理できない、墓守できる人がいない、子や孫等の次世代へ引き継がせたくないという考えから、永代供養(お墓の後継ぎがいない・子供に負担をかけたくない場合等に、遺族に代わり霊園や寺院が遺骨の管理・供養をすること)や、閉眼供養(お墓や仏壇に宿っているご先祖様・故人の魂を抜き取り、元の「ただの石」や「ただの木」に戻すための儀式。これを経て遺骨を粉骨して、一部の遺骨だけ自宅仏壇等で手元供養にしつつ、それ以外の粉骨後のものは海洋散骨したりする。その後亡くなった方も同様の供養とすることで、お墓そのものが不要となるもの)を経て「墓仕舞い」を検討される方は、現代では普通に一つの選択肢となりつつあるようです。
終活を行うメリット
終活(しゅうかつ)を行う最大のメリットは、「残された家族の負担を軽減できること」と「これからの自分の人生をより豊かに、前向きに楽しめるようにすること」ではないかと考えます。
あらかじめ希望や情報をまとめておくことで、残された家族が手続きや選択に迷う負担を大幅に減らせますし、財産や遺品に関する家族間のトラブルを未然に防ぐことができます。そして、自分の人生を振り返り、今後やりたいことや目標を明確にすることで、残りの人生をより前向きに自分らしく楽しむことができるようになるのではないでしょうか。
終活(しゅうかつ)とは、「人生の終わりのための活動」の略称です。
終活を始めるのに決まったタイミングはありませんが、心身ともに健康で余裕があるうちから少しずつ始めるのが良いとされています。

























