” 行政書士試験 難しい ”
タカシさん(仮名)は家庭の事情で高校を中退し、
アルバイトなどでお家の生計を助けながら運転免許をとりました。
そして、23歳の現在は会社員として働いています。
友人らは、大学を卒業して社会人1年目。
大学卒業している分、大きな会社に就職していることについて、
喜びと焦りが混ざったような心境でした。
※このときタカシさんは行政書士という名前のことすら、まったく知りませんでした。
このままだと抜かされる・・・
家庭の事情があったからとは言え、成人前から働いてお金を稼いでいたので、
学生だった友人とは違って、好きな物を自分の働いた給料で買ったりできていました。
しかし、友人たちが社会に出てお金を稼ぎ始めたのです。
しかも自分とは違って大卒で名前の通った会社で。
週末に遊んだりしたときの話題も、東京に新幹線で出張とか北海道に社員旅行・・・
次のボーナスで車を買うとか、彼女と飛行機で旅行にいくなど・・・
数年前から現在の職場で働いていますが、大卒の友人たちとは違い、毎日作業着で肉体労働が中心。
10名弱の地元企業で東京出張などなく、旅行代わりの忘年会がいいところでした。
お世辞にも高い給料とは言えず、ボーナスもなく、ちょっと業績良好の年に「寸志」が出る程度。
この先昇給すると言ってもスズメの涙くらい・・・
これまでは、それが普通だと思っていたんです・・・
そう、大卒の友人たちが社会に出るまでは。
タカシさんは、次第にもどかしさと不安を感じ始めました・・・
おれだって学校に行けていれば!
数年前、家庭の事情で高校を途中で辞める決断をしました。
しかし、そのことを決めた当時、学歴で勤め先に差が出ることまでは考えが及びませんでした。
もちろん、退学を決意した時まわりの人から・・・
「3年だけなんだから高校くらいは出ていたほうが良い」
こんなことも言われましたが・・・
経済的に助けてくれる大人は誰もいませんでした。
毎日のように「授業料が払えないかもしれない・・・」と家では言われます。
授業料が遅れると先生から呼ばれて「お前んちキツイのか?」と何度も言われました。
先生に呼ばれるたび、同級生が「貧乏なんじゃね?」と小声で囁くのも知っていました。
タカシさんは我慢強い方でしたが、その日々に耐えられなくなり学校を辞めると決意したのです。
23歳になった今、スーツにネクタイで仕事をしている友人達が羨ましく、
ときには憎らしく思ってしまうことも・・・
おれだって、あのとき普通に学校に通えていれば・・・
そして、社会人になったいま、
今からでも通信制などの高校に通おうか・・・
高等学校卒業程度認定試験ってなんだろう・・・
・・・このようなことを考え始めました・・・
本屋さんに通い始める
タカシさんは、生まれてはじめて自分の意志で本屋さんに足を運ぶことが増えます。
通い始めは、深く考えずに目を惹くタイトルを何冊か買いました。
「学歴なんて関係ない〜」とか「成功している社長の多くは〜」など・・・
※実際にこういうタイトルの本があるか否かは未確認ですが特定の書籍を指しているものでありません。便宜上の表現です。
この本を読めばタイトル通りの自分になれるかもしれない!と思ったのでしょう。
だけど、やっぱり気になります・・・
この先も友人たちとドンドン差が開いていく不安が大きいのに、
何も出来ないという無力感が心を支配していくことに・・・
しかし、今から通信制の高校に入学したとしても、
仕事と学校の両立ができるのだろうか・・・
卒業するころは20代後半だ・・・それまで我慢できるだろうか・・・
このように、友人と差が開くことへの焦りも有りつつ、
差を縮めるための努力をしようにも、それもまた不安になっていきました。
大卒の友人たちと差が開いていくのは嫌だ・・・
でも、何年も学校に通うのも無理だと思う・・・
一体どうしたらいいんだろう・・・
おれと同じような人っていないのだろうか・・・
タカシさんは次第に自分みたいな境遇から抜け出している人はいないのか・・・
そう考えるようになっていきます。
そして、いつものようにお休みの午前中本屋さんに訪れました。
いつもは学校の教材が並んでいるコーナーに向かうのですが、
先日までと店内のレイアウトが変わっていました。
そしてぱっと目についたのが・・・
法律・・・独立開業・・・
こういった資格試験関係のコーナーだったのです。
受験資格不要な国家資格と出会った
タカシさんは、本屋さんのレイアウトが変わったおかげで、
生まれてはじめて「国家資格」というものが存在することを知りました。
福祉士・・・電気工事・・・宅地建物取引士・・・
司法書士・・・行政書士・・・
中小企業診断士・・・社会保険労務士・・・
その中でも、タカシさんの目に飛び込んできたのは、・・・その資格を有するものは・・・
国または地方の公務員として事務を担当した期間が通算して20年以上(高等学校・大学等を卒業した者は17年以上)になる者。
え? じゃあ高校卒業してない人もなれるということなの?
この資格は何ていうんだ? 行政・・・書士・・・?
行政書士か・・・
ちなみに、タカシさんが読んだ文章の本来の全文は下記「六」です↓
※日本行政書士会連合会HPより引用
行政書士!これしかないと心に決める
それからのタカシさんは、行政書士についてたくさん調べました。
法律系資格の登竜門であることや、何万人も受験して1割受かるかどうかの狭き門であること。
この試験難しいんだ・・・
そして、勤続20年(17年)務めたとしても、公務員全員が行政書士になれるわけでないこと↓
【行政書士法 抜粋】
第2条(資格) 次の各号のいずれかに該当する者は、行政書士となる資格を有する。
6 国又は地方公共団体の公務員として行政事務を担当した期間(中略)が通算して 20年以上(学校教育法(略)による高等学校を卒業した者その他同法第90条に規定する者にあっては17年以上)になる者
【行政事務とは】
法第2条第6号が定められた趣旨は、公務員として官公署において行政事務を長期間にわたっ て担当してきた経験を有する者は、
行政書士の主たる業務である官公署に提出する書類の作成 に相当精通していると考えられることから、
そのような者には行政書士試験合格者と同程度の資 質を与えても差し支えないということです。
従って「行政事務」の用語もそのような法の精神に基づいて解釈されます。
単なる労務、純粋な技術、単なる事務の補助は、行政事務に含まれません。★行政事務を担当する者であるかどうかは、基本的には次の基準によります。
(1)文書の立案作成、審査等に関連する事務であること。(文書の立案作成とは、必ずしも自ら 作成することを要せず、広く事務執行上の企画等も含む。)
(2)ある程度その者の責任において事務を処理していること。 ⇒すなわち、単に職務の一部に書類の作成等が含まれているだけでは足りず、その者の職務 の内容が、全体として上記(1)(2)に該当することが必要です。
【事前確認制について】 行政事務歴は、基本的には上記の基準及び個々の具体的な職務内容により判断されます。
O行政書士会では、公務員としての経歴が行政事務歴に該当するかどうかについて、
事前に 日本行政書士会連合会に確認することにしていますので、行政事務歴での行政書士登録申請を される場合は、
この事前確認を受けていただきますようお願いします。
行政事務の担当の物差しはハッキリないようですが、
「課長〜部長」さんとして20年(17年)以上在任された人とお聞きしたことはあります。
たとえば22歳で公務員になり、35歳で課長さんになっているのなら、
そこから17年(52歳のころ?)ということになるイメージでしょう。
タカシさんは、法律の国家資格に大きな光明を感じていました。
「 行政書士試験 難しい から誰でもなれるわけじゃないんだ!
これなら高校中退なんて吹っ飛ぶはずだ! 絶対に国家資格だ・・・・!」
行政書士になりたい②へつづく