今回は相続手続きの中で、近頃少しずつ耳にするようになった、
「家族信託」というものについて、全6編に分けて書かせて頂きました。
「信託」と言うと金融機関等を連想されることが多いと存じます。
金融機関の信託は先駆け的な存在であることは間違いありませんので、
その連想はごく自然なことだと思います。私も当初はそうでした。
Contents
家族信託は自分で決められる内容が多い
金融機関の提供する信託サービスは、
金融機関内で設定している条件、規約、範囲等が前提であります。
今回お話しする「家族信託」は、法律の決まり事を守るという前提で、
条件の設定やお家の事情に応じた約束事、その範囲等を、
当事者(例:親、子などで)で決めることができるので、非常に画期的と言われています。
お読みになった後
信託や相続なんて、今まで関心がなかった。
自身には無関係な気がしていたという方でも、
興味を持たれた方は、本・インターネットで調べてみたりなどしてみて、
頭の片隅にでも覚えていて頂ければなと思っています。
今すぐでなくても、将来的に「ああ、そういえば相続とか・・・遺言とかのときに・・・家族信託って何かで見たな・・・」と思い出す場面に遭遇することもあるかもしれません。
家族信託と遺言書の主な違い
家族信託は、生前から色々な取り決めを出来る点で、
亡くなった後に効力を生じる遺言書よりは、
自力で希望を叶えられるメリットが存在すると言えるでしょう。
夫婦共同で遺言したのと同様の効果も期待できる
また、家族信託と遺言書の違いを別の角度から見たとき、
遺言書は夫婦同一(共同遺言)ですることは法的(民法上)に禁じられていますが、
家族信託の場合、そういった民法上の制約が、
現状では存在しませんので(主に信託法という法律が適用されます)、
家族信託を選択された場合でご希望があれば、
夫婦共同で遺言をしたのとそれほど変わらない効果をもたらすこともあるでしょう。
存命中に次世代に任せることもできる
更に言うなら、年々体力や気力が低下していき、疲れること、
精神的・体力的に負担がのしかかる様な行事(祭祀法要や事業経営など)・・・
これらをこなすことに不安を感じてきている方にとっては、
後述している、遺言代用信託など非常にメリットがあるかもしれません。
信託内容の作成等はあくまでご家族が主導
家族信託と遺言書の違いは他にもたくさんありますが、
遺言書に比べ自由に作れること(正に家族が主役となった契約内容とすること)はもちろん、
自由に作れる分、家族信託の原案作成にあたり、
専門家よりもご家族主導となり易いこと(遺言書の場合は専門家が主導となり易い)。
そして、仮に家族信託の原案作成などを専門家側に相談される場合も、
専門家はしっかりとご家族の希望、構成、ご家族を取り巻く環境、
財産状況、5年先、10年先のこと、15年後のお子さんやお孫さんの年齢を踏まえ、
家族信託の原案構成を法的に合致させ、様々な将来の経済情勢などを管理しながら、
契約書を起案していくことになるはずです。